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鬼の担い石

(むすめ)にいいよる鬼(おに)にこまった庄屋(しょうや)が、氏神(うじがみ)さまに相談(そうだん)すると……。 氏神さまの妙案(みょうあん)は、今も県道脇(けんどうわき)に残(のこ)っています。

鬼の担い石

昔々、桐原(きりはら)の庄屋(しょうや)をつとめる家に“おきの”という娘(むすめ)がおりました。  おきのは大変美しい娘であったため、村人の羨望(せんぼう)の的で、心を寄せる若い衆(わかいしゅう)も一人や二人ではありませんでした。


赤鬼(あかおに)

その頃(ころ)桐原の奥山に大きな赤鬼(あかおに)が住んでおり、夜な夜な里に下りてきては村人に無理難題(むりなんだい)をおしつけていましたが、そのうちおきのを気に入り言い寄るようになりました。  「おれの嫁こ(よめこ)になってくれ、なってくれないと大洪水(だいこうずい)をおこして村中の家を流してしまうぞ!」と言うのです。


困(こま)ったおきのと両親は日頃(ひごろ)から信仰(しんこう)している氏神様(うじがみさま)にお願いする以外に方法がないと思い、早速(さっそく)サンマのすしとボタモチを作り氏神様にお願いしたところ、氏神様も機嫌(きげん)よく「そうか、そうか」とうなづき、しばらく考えてから、「心配はいらん、この村の川下の真中に大きな石があるが、これは昔東から西へ渡る飛び石として山の上から飛んできたのじゃが、後二つの石がなく困っておるところじゃー。ちょうどよい、鬼が住む奥山には大きな石がごろごろしているという、今夜鬼が来たら氏神のお告げじゃと言って、『明日の夜明けまでに二つの石を運んできてくれるなら嫁に行く』と言っておやり」と教えてくれたので、家に帰っておきのに相談したところ、おきのも仕方なく、「もし鬼が約束どおり石を運んでくれるなら村のために嫁に行きます」と言いました。

その夜も鬼がきて催促(さいそく)するので、おきのがその旨(むね)を伝えると鬼は「そんなことならお安い御用(ごよう)だ」と喜び勇んで山に飛んで帰り、大きな石を太い藤(ふじ)かづらで巻(ま)きつけてこれを前後に担い(にない)ドッシ、ドッシと山を下りてきました。  ところが上桐原の里近くまで来た時、突然(とつぜん)一番鶏(いちばんどり)の鳴き声が聞こえました。鬼は夜が明けると神通力を失うので昼間は人間に姿(すがた)を見せません。その場に石を投げ捨(す)てあわてて奥山に帰っていきました。


それ以後鬼は再び里に現れることはなくなったそうです。川下の石を氏神様の石ということで「御座石(ございし)」と言い、桐原の南の川にあり又(また)、鬼が投げ捨てていった石は、長い“おこ石”を間にして丸い大きな二つの石を担いわけるようにして、上桐原の県道脇(けんどうわき)に今もあります。


その後おきのは村の若い衆と結婚(けっこん)して幸福な生活を送ったと言われております。

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